子どもの便秘について
【コラム】子どもの便秘は「出し切る → ためない」が大切です
〜小児科外来で日々感じていることと、おうちでできるケア〜
日々、小児科外来で診察をしていると、
お腹をさわると硬いうんちをはっきり触れるお子さんが、とても多くいらっしゃいます。
また同時に、
「浣腸や便秘薬って、クセになりませんか?」
「できれば使わずに様子を見たくて…」
と心配されるお母さん・お父さんも、非常に多い印象です。
そのお気持ちは、とても自然なものです。
ただ、子どもの便秘では「我慢」や「様子見」が、かえって長引かせてしまうこともあるため、正しい考え方を知っていただくことが大切だと感じています。
今回は、日常診療でよくお話ししている内容をもとに、
子どもの便秘治療の考え方と、おうちでできる工夫をわかりやすくまとめました。
まず大切なのは「たまった便を出し切る」こと
便秘が続くと、腸の中に硬くなった便(便塞栓)がたまってしまいます。
この状態では、いくらいきんでも便は出にくく、排便時の痛みが強くなります。
そのため治療の第一歩は、
👉 腸にたまっている便をしっかり出すこと
です。
どんな方法があるの?
お子さんの年齢や状態に応じて、次のような方法を組み合わせます。
-
経口薬(飲み薬)
便に水分を含ませ、やわらかくするお薬 -
浣腸
直腸にたまった便を一気に出す方法 -
坐薬
排便反射を促す方法
「浣腸や便秘薬はクセになるのでは?」と心配されることが多いですが、
小児の便秘治療で使うお薬は、依存を起こすタイプではありません。
むしろ、硬い便を無理に我慢し続けることで
-
排便が怖くなる
-
さらに便をためる
-
便秘が慢性化する
という悪循環に入ってしまう方が問題です。
出たあとは「維持療法」で再発を防ぎます
たまった便を出し切ったあとは、
👉 便をためない状態を保つこと
が次の目標になります。
維持療法の中心は「飲み薬」
-
便をやわらかく保つ
-
痛みのない排便を続ける
ことが目的です。
症状が落ち着くまでには、ある程度の期間が必要なこともあります。
自己判断で中断せず、医師と相談しながら調整していきましょう。
学童期の子どもに大切な「排便環境づくり」
トイレトレーニングが終わっている学童期のお子さんでも、
姿勢や環境が合っていないために便が出にくいことは少なくありません。
① 足台を使いましょう
-
足が床につかないと、うまく力が入りません
-
足裏がしっかりつく高さが理想です
② 姿勢のコツ
-
膝をしっかり曲げる
-
少し前かがみになる
この姿勢で、腸が自然な形になり便が出やすくなります(和式の便座をイメージして頂けるとわかりやすいと思います)。
③ 補助便座も活用してOK
「もう大きいから…」と無理をせず、
安心して座れることを優先してください。
④ トイレに座る時間とタイミング
-
食後15〜30分にトイレへ誘導してあげてください。
朝は皆さん忙しいので、つい感情的になりがちですが、お子様が萎縮してしまうので優しく誘導してあげてください。 -
座る時間は 5〜10分程度
排便がないようなら、さっとトイレから出ましょう -
出なくても叱らず、
👉 「座れたね」と褒めてあげてください(重要)
便のかたさの目安:ブリストルスケール
便の状態を表す指標として、ブリストル便形状スケールがあります。
-
スケール4〜5
→ 理想的な便のかたさ -
スケール1〜2
→ 硬く、便秘の状態 -
スケール6〜7
→ やわらかめ〜下痢状
便秘治療の**初期(たまった便を出し切る時期)**には、
👉 スケール6くらいのやわらかさでも問題ありません。
まずは「痛みなく出る」ことを最優先にし、
その後スケール4〜5を目標に調整していきます。
食事療法について 〜できる範囲で〜
便秘に対して、確実に効くと証明された食事療法は多くありません。
ただし、
-
食物繊維
-
ビフィズス菌・乳酸菌
が、便通改善に役立つ可能性があると考えられています。
野菜・果物・いも類・海藻・ヨーグルトなどを、
「少し意識する」くらいで十分です。
便秘は、心にも負担をかけます
便秘が続くと、
-
子ども
「また痛いかも…」「トイレが怖い」 -
親御さん
「出ていないけど大丈夫?」「私のせいかも…」
と、親子ともに大きな心理的負担を感じやすくなります。
便秘は、珍しいことでも、育て方の問題でもありません。
早めに正しいケアを行うことで、改善が期待できる病気です。
困ったら、ひとりで悩まずご相談ください
-
何日も便が出ない
-
排便時に強く痛がる
-
下着に便がつく
このようなときは、受診のサインです。
お子さんに合った方法を、一緒に考えていきましょう。
